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「鹿男あをによし」万城目学

「鹿男あをによし」
万城目 学
幻冬舎
2007-04
勝手に評価:★★★★★

 ねえ藤原君、「あをによし」って知ってる?何ですか急に。いやね、生徒から知っているかと訊かれて、何だそれ?って返したらずいぶん馬鹿にされてね。え?知らないんですか先生?知らないよそんな言葉。そりゃあいけません、奈良に来て「あをによし」を知らないのはいけません。
 鹿除けか何かのおまじない?和歌の枕詞ですよ、「たらちねの」なら「母」と来るように、「あをによし」なら「奈良」と来るわけです。どういう意味よそれ?諸説ありますが、「青丹よし」で、建物の青色と丹色の色づかいが鮮やかで、都の眺めはグッドだなあという意味のようですよ。
 へえ、物識りだね藤原君、とおれが感心していると、やっこさん、かりんとうの詰まった瓶を股の間に挟みこみ、鼓のように瓶底をポンと鳴らすと、朗々と詠じ始めた。
 あをによし 奈良の都は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり
(本のカバーより)

前作「鴨川ホルモー」も面白かったんですけど、今回の方が私にはツボでした。なんとなく「鴨川」と表紙の感じが似ていたので、勝手にシリーズなのかと思っていましたが、まったく関係ありませんでした(笑)。前作が京都を舞台にした大学生たちの話で、今回は奈良の女子高を舞台にした教師と生徒のお話です。そして、鹿と狐と鼠が出てくるちょっと不思議で面白い青春物語です。

箱根の大学院で研究生だった主人公の男。教授の無理矢理な計らいで、いきなり奈良の女子高で理科の教師をすることになった。初めての教師生活に四苦八苦するなか、朝の散歩で一匹の雌鹿と出会う。その鹿はなんとオッサンの声で男に話しかけてきた。「さあ、神無月だ――出番だよ、先生。あんたは“運び番”に選ばれた」

前作では陰陽師について取り上げられていましたが、今回は…バラしちゃうと面白くないので、とりあえず鹿と狐と鼠の話…ということで(笑)。奈良と言えば鹿が有名ですが、他にお寺や古墳が挙げられます。それらが余すことなく繋がっていて、今作の土台になっているというのが面白いです。主人公の同僚の藤原が出てきて古墳ツアーをやったり、お寺周りする場面が出てきて、ちょっとした観光気分も味わえます。へぇ〜と思って一緒に眺めていると、実は話の本筋の一部だったりして(苦笑)。奈良の風景だけでなく、歴史についてもきちんと調べられ、丹念に構想が練られた感があって、よくできてるなぁと思いました。

そして、前回より伏線が絶妙に使われていて、なんとなく伏線だと分かる置き方をされていても、実際種明かしされると予想以上にびっくりさせられました。伏線だと気付かない部分もあって、そうきたか!と不意打ちな部分もありました。

登場人物も個性豊かで、無駄にバラバラなんじゃなくて、きちんとしたそれぞれの役割で物語に彩りを添えています。一番良いのは、やっぱりイトちゃんでしょう!主人公目線だと捻くれたり怒りっぽく見えますが、実は一途で真っ直ぐな彼女。後半に描かれる剣道の試合の場面が凄く清々しくて、引き込まれました。主人公と一瞬心を通わせる所もかなり良いです。まさに青春物語です。

前作よりも緻密で丁寧な印象を受けました。おかげで今回も一気読み。読み終わると爽やかな余韻が残る、微笑ましい作品でした。
Author: chiro
ま行の作家(万城目学) | permalink | comments(11) | trackbacks(14)
 
 

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コメント:
こんばんは。
物語なのにいたる所に真実やら歴史が盛り込まれていて、本当にあるのかも…なんて思っちゃったりして(苦笑)
次は大阪が舞台の物語みたいですね。
楽しみです。
comment by: なな | 2007/08/22 9:46 PM
こんばんは。
こういうウソなんだけどもっともらしい話書かせると本当にうまいですよねー!じわりじわり人気があがってるみたいですが、それわかります。
わたしも次回作が今から楽しみです^^
comment by: まみみ | 2007/08/22 11:54 PM
こんばんは。
この作品も登場人物が個性豊かで面白かったです。
堀田イトちゃん、よかったですよね。剣道の試合の場面、ぐいぐい引き込まれました。
女子剣道といえば、最近読んだ「武士道シックスティーン」も楽しかったですよ。
comment by: 藍色 | 2007/08/23 12:38 AM
いま手元に本がないので名前がわからないんだけど、表紙の絵は同じ人だったと思います。
この表紙はすごく可愛くていいよね!飾っておきたいぐらいです。
comment by: しんちゃん | 2007/08/23 10:20 AM
>ななさん
こんにちは。
もう次が決まっているのですね〜!
とても楽しみです♪
大阪は…やっぱり食い倒れ人形でしょうか??
何が喋るかな(笑)。

>まみみさん
寝倒れが未だにホントかウソかわからないんですけど(笑)。
歴史の事実とファンタジーの繋ぎ目が上手いですよね。

>藍色さん
剣道の試合の場面は、テンポが良くて読みやすかったです。
剣道はどちらかといえば男性のイメージがありましたが、女性がやるのもカッコイイですねぇ。
オススメの本、チェックしてみますね♪

>しんちゃん
あ、やっぱり表紙の絵の人って一緒ですか?
ちょっとホッとしました(笑)。
この青くて綺麗な感じと、鹿のつぶらな瞳が良いです。
私は携帯の待ち受けにしてみたいです。
comment by: chiro | 2007/08/23 11:08 AM
こんにちは!
ふふふ、私もホルモーより鹿男が気に入っています♪
構成が見事で、歴史ものを絡めるとどうしてもくどくなってしまいがちな文体も無駄がなくシンプルで、かなり好感持ちました。
次回はどんなお話か!楽しみですね〜。
comment by: リサ | 2007/08/23 5:23 PM
>リサさん
こんばんは〜!
リサさんと仲間で嬉しいです♪
万城目さんは歴史モノだけどシンプルな印象が良いですよね。
不思議な作風ですねぇ。
comment by: chiro | 2007/08/23 6:50 PM
こんにちは〜。
ようやく記事をアップしましたので、TBいたします。

イトちゃん、よかったですよね。先生との関係の変化に、目が離せませんでした。まさに青春!「野性的魚顔」には笑いましたけど(笑)ヒドイ。
comment by: くろ | 2007/08/26 10:53 AM
>くろさん
TBありがとうございます。
これからそちらにもTBしますね♪

野性的魚顔って、確かにヒドイですね(苦笑)。
表紙の絵で見る限りでは、かわいいですけどねぇ。
イトちゃんの変化は最後にはっきり出てましたけど、先生はどうなんですかね?
その後をいろいろ想像してしまいます。
comment by: chiro | 2007/08/26 1:00 PM
こんにちは〜♪本を読む人々。の方ではよくお見かけしていますが、ブログに書き込みするのは初めてです。よろしくです〜(^^ゞ

学生時代の数年間、奈良に住んでいたので読んでいて当時の事を思い出してとても懐かしかったです。
マイシカとかかりんとう兄弟っていうネーミングセンスとか細かい所まで万城目さんの話はセンスが光っているなぁと思います。
ラストもべただけどとてもよかったですね♪
comment by: 板栗香 | 2008/01/14 1:04 PM
>板栗香さん
こんにちは〜♪
はじめまして。
TBありがとうございました。

ネーミング面白いですよね(笑)。
ラスト、爽やかで良かったですね。

ドラマが今週から始まりますね♪
どんな感じになるか、すごく楽しみです。
comment by: chiro | 2008/01/15 11:49 AM
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鹿男あをによしposted with 簡単リンクくん at 2007. 4.24万城目 学著幻冬舎 (2007.4)通常2-3日以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る
trackback by: 今日何読んだ?どうだった?? | 2007/08/22 11:56 PM
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