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「きつねのはなし」森見登美彦

「きつねのはなし」
森見 登美彦
新潮社
2006-10-28
勝手に評価:★★★★☆

 京の骨董店を舞台に現代の「百物語」の幕が開く。注目の俊英が放つ驚愕の新作。

 細長く薄気味悪い座敷に棲む狐面の男。闇と夜の狭間のような仄暗い空間で囁かれた奇妙な取引。私が差し出したものは、そして失ったものは、あれは何だったのか。さらに次々起こる怪異の結末は――。熱狂的支持を得た『太陽の塔』から三年、前作とはひと味違った端整な筆致で紡がれ、妖しくも美しい幻燈に彩られた奇譚集。(新潮社HPより)

表紙からして怪談ぽい内容かな〜とは思ってましたが、かなり涼しくなるモノでした…。真夏という今の季節だからこそ迫ってくるものがありました。森見さんはこういうモノも書かれるのですね〜。意外です。おちゃらけた所はなくて、真面目に怖かったです。

「きつねのはなし」
「私」は、芳蓮堂という骨董屋でアルバイトをしていた。店番をしたり、客の家へ品物を届けたり…。得意先には天城という風変わりな男がいた。彼は、いつでも群青色の着流し姿で、品物を渡す部屋は細長く薄気味悪い座敷。そして、「私」に天城は奇妙な取引を持ちかけてきて…。

私は、何となくお面というものが苦手です。夜店で売ってるキャラクターものは大丈夫ですが、狐とか鬼とか人とか…妙に生き生きとしているまま凍り付いている、あの表情が怖いのです。そして、そのお面は、きっと何か恐ろしいモノを纏っているはず…という妄想に憑かれます。

このお話も、前半は狐の面が災いをもたらしているような印象を受けましたが、後半で急激な展開を見せ、実は違うんじゃないかという含みもあったり…。登場人物全てが不思議な雰囲気を持っていました。怖いんだけれど、なんだかちょっと心地良いような感じがしました。まさに日本の怪談。

「果実の中の龍」
「私」の大学の先輩に変わった人がいる。アパートを二部屋借り、片方を図書室にしていた。そして、シルクロードを旅した話や奇妙な骨董屋でアルバイトをしたことを話してくれた。しかし、彼と付き合っている瑞穂さんが意外な事実を語り出して…。

どこからどこまでホントの話なのか、わからなくて混乱して、その分からないあやふやな感じが怖くなってきます。そして、全てが終った時、最初から何もなかったような素振りでした。それがまたさらに怖い。妄想がうまくできすぎていると危険な気がしました。

「魔」
「私」は酒屋の次男である修二という高校生の家庭教師をしていた。そして、兄の直也やその友人の秋月、夏尾と出会う。一方、周辺では深夜に通り魔事件が多発していた。大人たちを始めとして、修二たちも犯人を捕まえるべく奔走し出して…。

この話が一番怖かったです。魔がさしたとか、魔が通ったとか、魔にとり憑かれたとか…理由はあるのかもしれませんが、それでもやっぱり怖いです。人間はやっぱり怖い。狂気という言葉は人間だけのためにあるんだろうなぁと感じました。

「水神」
ある夏の日、祖父の通夜のため、親族が家に集まった。通夜の最中、芳蓮堂という骨董屋から電話があり、祖父が預けた家宝を返しに来るという。「私」と父、叔父たちは、酒を飲み、思い出話を語らいながら寝ずの番をして、その家宝を待つことにしたのだが…。

怖さもありましたが、神秘的な印象も受けました。文字通り、神様にまつわる話だったんだろうなぁと思います。

人間は何でも欲張りで、自己中心的な考えを持って行動します。しかし、それらに対していつかは仇となって、何かが返ってくるのだと思います。だから、怖いけど、妙に納得してしまうような、腑に落ちるような気がしました。日本の怪談というのは、こういう教訓のようなものが背景にあって、怖いけど覚えていなければいけないな…と思わせられるものが多いんではないでしょうか。


森見さんの和製ホラー、とても面白かったです。ちょっとあやふや過ぎて物足りない部分もありましたが、いつものコメディと同じくらい引き込まれました。短編集だったので、次は長編ホラーを読んでみたいです。
Author: chiro
ま行の作家(森見登美彦) | permalink | comments(2) | trackbacks(5)
 
 

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コメント:
夏に読むにはピッタリの作品でしたね。
暗い道の闇に紛れて狐面をつけた男がひっそりと立っているようで、しばらくは暗くなってからの一人歩きはしたくありません(笑。
comment by: らぶほん | 2007/08/21 11:49 AM
>らぶほんさん
はじめまして。
TBありがとうございます。

闇というのは様々な色というか、深みがあるのだなぁと改めて感じさせられた作品でした。
夜は怖いですね(苦笑)。
comment by: chiro | 2007/08/21 10:58 PM
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