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「エンドロールまであと、」壁井ユカコ

「エンドロールまであと、」
壁井 ユカコ
小学館
2007-08
勝手に評価:★★★☆☆

 旧家に生まれた双子の高校二年生、佐々右布子と左馬之助の関係は最近ちょっとぎくしゃく気味。今までいつも一緒にいたのに左馬之助がどこかよそよそしいのだ。右布子はその原因が何なのかよくわからないまま、生まれて初めて積極的に友達を作ろうとしたり、二人が所属する映画研究会で映画を作ったりと日々を過ごすが―― “その想い”を自覚できない姉と、自覚してしまった弟の、禁断の恋の物語は静かに熱く動きはじめる。

壁井さんの作品はデビュー作である「キーリ―死者たちは荒野に眠る」(電撃文庫)以来、積んだり読んだりしつつ、ずっとファンです。というわけで、無条件に読んでみました。

う〜ん…でも、ちょっと微妙だったかなぁ。壁井さんらしいちょっとグロいシーンとか、イタ切ない雰囲気は確かにあったんですが、執筆する時点で「青春モノを」というリクエストがあったそうで(あとがきより)、ちょっと漫画チックで平凡な作品になってしまったなぁと感じました。やっぱり壁井さんにはファンタジックで切ない妄想の世界(ちょっとシツレイか?(笑))を猛進してほしいです。

物語の舞台は高校。病弱な姉と今時の健康的で快活な弟の双子。しかも、一卵性。弟が健康な分、姉は毎日寝込む日々を過ごしていたが、次第に友達ができ、自分がどうしたいのか、何を望んでいるのかを考えていくようになる。そして、弟への気持ちに気付いて、それに対する正解を求めて…というお話。イラストは「夜まで待てない。」などで知られる(私はそれしか読んだことないけど(汗))漫画家の太田早紀さんが担当しています。うん、この甘さと切なさを現すにはピッタリの作家さんでしょう!表紙の双子弟くんの何とも言えない表情と微妙な位置に固定されている手!!(笑)ストーリーも太田さんがそのまま漫画化できそうなものでした。いや、ぜひしてほしい(爆)。

壁井さんの作品の話に戻りますと…かなり無理して書いた印象が(苦笑)。そもそも壁井さんには青春モノという設定のイメージが無いんです。もちろん他の作品でもコメディなシーンや甘々なシーンはありましたが、「高校が舞台の青春モノ」の上に乗っかったせいで普通になってしまった気がします。

キャラは主人公の双子を始め、双子姉の許嫁で映画オタクの同好会部長や手厳しいツッコミをして双子姉を敵視する同好会の女の子など、濃くて面白いのが揃っています。が、こちらもちょっと物足りないかな、と。それぞれのキャラ主観の章が用意されていて、心理描写は凄く丁寧で、思春期特有の脆さや怖いもの無しな無鉄砲さとか、挫折感とか…そういうのは嵌りました。が、キャラの生い立ちに纏わる背景が曖昧だったので、全体的にも中途半端。双子の母親や祖母、双子姉の許嫁の家族の様子。もうちょっとそこら辺がしつこく詳しく描かれていれば、主要キャラたちの青春も光って見えたのかなぁと思います。

それと、一番は疑問点が多いこと。最後の方でやってたインディーズ映画祭の結果はどうなったのか、そもそもなんで双子の父は家を追い出されたのか。祖母は本当にただの支配者だったのか。敢えて描かなかっただけなのかもしれませんが、私としてはそこが物凄〜く知りたいとこだったので、痒い所が痒いまま終ってしまった感が(笑)。

やっぱり壁井さんにはファンタジーとか妄想とか猛想で攻めてほしいです。もしかしてルルルが合ってないのかも(爆)。青春モノじゃなかったら、間違いなく壁井節だったはず。イタ切ないのは変わってなくて、溜息が出そうなくらい雰囲気に浸れて…というシーンは今作でもありましたから。あぁ、「キーリ」が読みたくなってきた(笑)。
Author: chiro
か行の作家(壁井ユカコ) | permalink | comments(4) | trackbacks(1)
 
 

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コメント:
ス,スゴイ!一言に尽きます。
comment by: 旅人 | 2007/08/17 11:25 PM
>旅人さん
はじめまして。
あの・・・何が凄いんでしょうか?(苦笑)
できればもう一言いただけたら・・・と思います。
でも、コメントをいただけたこと自体は嬉しいです。
ありがとうございました。
comment by: chiro | 2007/08/18 9:12 PM
はじめまして。シードルと申します。私も、chiroさんと同じ疑問を持っています。祖母の考えが、最後までわからないところとか、わからないところが多過ぎるような気がしました。
comment by: シ―ドル | 2007/10/07 5:55 PM
>シードルさん
はじめまして。
コメントがとても遅くなってしまって、ごめんなさい。

この作品って分からないとこ多すぎですよね〜。
祖母の表情変化が欲しかったかなと思います。
comment by: chiro | 2007/10/26 12:06 PM
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trackback by: booklines.net | 2008/01/26 8:31 PM