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「六番目の小夜子」恩田陸

「六番目の小夜子」
恩田 陸
新潮社
1998-08
勝手に評価:★★★★★

 「あなたも赤い花を活けに来たの?」少女はゆっくりとそう言った。
 津村沙世子――とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。(新潮社HPの文庫版の紹介文より)

私がこの作品に出逢ったのは、2000年にNHKで放送されたドラマでした。ドラマでの設定は中学校が舞台で、主人公の少女はオリジナルキャラという、原作とは異なる設定も多々ありましたが、「学校の不思議な言い伝え」と「二人のサヨコ」という恐怖心と好奇心をを十分かき立てられる内容でした。

そして現在、書店や図書館ではズラリと恩田陸氏の作品が並び、読書好きの方々の間でもミステリの作家として話を聞いていました。そこで、改めて恩田氏の作品を調べてみたところ…この作品がデビュー作じゃないですか!ドラマを見ていた当時、原作を気にかけていなかったので、本当に知りませんでした(苦笑)。というわけで、懐かしい作品でもあり、初恩田作品でもありました。

第3回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作です。

最初のうちはドラマのイメージが強く、舞台やキャラの設定についていけず、大変でした。でも、プロローグが過ぎて、「春の章」の前半で「校庭の隅っこの桜の木の下で、すっごく嬉しそうな顔をして笑う気味の悪い転校生」の話のシーンに差し掛かった時からエンジンがかかり、章の後半でホラーの気配が色濃く漂い始めたあたりからは作品にグングン引きこまれていきました。

私はミステリは好きですが、ホラーはどちらかと言えば嫌いです。ホラーって起源や理由がよくわからなくても怖ければ良いというイメージがあって(すごい偏見だと思いますけど)、どうも苦手なのです。ミステリというのは、一見不気味で得体の知れない展開でありつつも、最後にはきちんと筋道がある種明かしがされるのでスッキリします。

さて、この作品はどうでしょうか。この単行本では、綾辻行人氏の解説がありますが、「不思議な魅力に満ちている」という感想には「なるほど」と納得しました。この作品は、ミステリでもあり、ホラー要素もあり、青春物語でもあります。それぞれが独立しているのではなくて、ちょうど良くブレンドされた…私が思うには一つのジャンルには収まらない作品なんではないかと思います。

私は、作品の舞台に学校を選んだというのが大きなポイントだと思います。あの閉鎖的空間でしか味わえない独特の雰囲気や緊張感が「サヨコ伝説」に現実味を持たせたんじゃないかと思うんです。「トイレの花子さん」とか「1つ多い階段」のように…。

そして、個性豊かなキャラたちがその謎に巻き込まれていくというのが、また良いです。普通に恋愛や友情溢れる日常の中で、ひっそりと忍び寄るようにさり気なく「サヨコ」がいるという雰囲気が、凄く面白いです。このキャラたちが青春を謳歌しながらも、作品全体に流れているミステリを少しだけホラーに変えているのが良いです。このミステリとホラーの絶妙なブレンドが、なんとも心地良いのです。

とにかく面白いです。デビュー作というのを忘れて、恩田氏に身を委ねて読むことができました。おかげ様で「夏の章」からエピローグまで、150ページ以上を半日で一気に読みきることができました。恩田氏は長編であればあるほど期待できる作家なのではないでしょうか。
Author: chiro
あ行の作家(その他) | permalink | comments(8) | trackbacks(4)
 
 

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コメント:
おはようございます。
chiroさんの初恩田さんなんですね!
恩田さんの物語って頭の中にシーンが浮かんできませんか?それが毎回すごく不思議なんです。
時々、ラストがあれ?って物語りもありますが、恩田さんお薦めです!
comment by: なな | 2007/08/01 8:11 AM
>ななさん
こんにちは。
そうですね、自然と風景とか仕草が見えますね。
おぼろげに表情も浮かんだりします。
そういう物語って読みやすいし、嵌りますよね♪
comment by: chiro | 2007/08/01 1:49 PM
chiroさん、こんにちは〜。
ちょうど、この作品を再読しようと思っていたところでした。奇遇!
私も、初恩田さんはこの作品でした。
読んだのはドラマの前だったので、もう7年以上も前のはずですが、廊下の雰囲気とか、体育館の恐怖とか、いまだに映像でイメージが残っています。
読んだらTBさせていただきますね♪
comment by: くろ | 2007/08/05 12:15 PM
>くろさん
ホントですか〜!?
嬉しいです♪
新潮文庫の100冊にも入ってますしね。
恩田さんの作品は時代が少し古い感じはしますけど、自分の学生時代を思い出させてくれて、印象深いです。
TBお待ちしてます☆
comment by: chiro | 2007/08/06 2:23 PM
こんばんは〜。
記事をアップしたので、TBしようと思ったのですが、
反映されません(涙)
ぜひぜひ遊びにきてください〜。

ドラマ、私も見たはずなのですが、記憶が曖昧で。
こっちもまた見たいー!と悶えています(苦笑)
comment by: くろ | 2007/08/14 11:32 PM
>くろさん
あれれ、TB反映されないですか!?
調子が悪かったのかもしれません。
設定では特に制限してないので。
私も遊びに行きますね〜☆

私もドラマの記憶は曖昧です(苦笑)。
原作と違う部分もあるので、余計に霞んでいる気がします。
レンタルして一気に見たいですね♪
あの不思議でちょっと怖い感じが好きです。
comment by: chiro | 2007/08/15 9:44 AM
 こんばんは♪
 TB&コメント、どうもありがとうございました。

 ドラマもご覧になってたんですね。
 私も観てみたくなってます^^

 私ももろに「ホラー」なのは苦手なんですが、
 この作品はとても楽しく読めました。
 ミステリーとホラーのバランスが絶妙で、
 しかも学園モノとしても楽しめました。

 学校って、不思議な空間ですよね。
 この作品の舞台として、とてもよくハマってました。
comment by: miyukichi | 2007/09/06 7:55 PM
>miyukichiさん
こんばんは!

歴史があるっていうのは色々あるんだなぁと思わせるミステリーでしたよね。
ドラマは中学校が舞台ですが、小夜子の存在感を実写で見るのはかなり面白いです。
オススメします☆
comment by: chiro | 2007/09/06 8:31 PM
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六番目の小夜子 恩田 陸 学校に代々伝わる「サヨコ伝説」。鍵をもっている「サヨコ」が卒業するときに次の「サヨコ」に鍵を渡し、3年に一度「サヨコ」が文化祭で一人芝居をする。6番目のサヨコが誕生する年に突然転校して来た謎めいた美少女、沙世子。そして
trackback by: ナナメモ | 2007/08/01 8:11 AM
六番目の小夜子posted with 簡単リンクくん at 2005. 7. 8恩田 陸 / 恩田 陸著新潮社 (2001.2)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る
trackback by: 今日何読んだ?どうだった?? | 2007/08/01 10:58 PM
恩田さんのデビュー作。 私がはじめて読んだ恩田作品もこれでした。 津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるの
trackback by: にゃんこと歩く。-読書日記- | 2007/08/15 10:18 AM
 恩田 陸:著 『六番目の小夜子』  六番目の小夜子 (新潮文庫)恩田 陸新潮社このアイテムの詳細を見る  恩田さん、実は前に読みかけのまま  中断しちゃったことがあるので、  実質、これが初。  恩田さん作品群のなかでも、  この本は人気が高いらしく、  私
trackback by: miyukichin’mu*me*mo* | 2007/09/03 7:58 PM