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「配達あかずきん―成風堂書店事件メモ」大崎梢

「配達あかずきん」
大崎 梢
東京創元社
2006-05-20
勝手に評価:★★★★★

 「いいよんさんわん」――近所に住む老人に頼まれたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真……。駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、さまざまな謎に取り組んでいく。初の本格書店ミステリ、第一弾!(カバーより)

良いよ、これ良い!面白いの一言に尽きる。書店に居るだけでもワクワクしてくるような本好きなら、絶対に読むべき一冊だ。まぁ、それは私のことだが(笑)。

本作品は連作短編集になっている。それぞれできちんと内容が完結しているので、読みやすくてスッキリした気分になれる。

パンダは囁く
近所に住む老人に頼まれた本のメモを見て、それを言い当てる話。この話が一番ゾッとした。謎解きの部分でいきなり確信に触れてくるのでびっくり(苦笑)。多絵の次に答えに気付いて、凍りついた。多絵そっちのけでずっと会話したり、本の話にばかり集中して肝心な所になかなか気付かなかったり…早くしろよ!と杏子たちを急かしたくなった。謎自体はそんなに複雑じゃなくて、ミステリの初級編的印象を受けた。いきなり考え込む多絵の感じがホームズみたいで面白かった。

標野にて 君が袖振る
コミック『あさきゆめみし』を購入後、失踪した母の行方を探しに来た女性の話。本の具体的な内容に絡めたミステリで、これまた面白い。書店というよりは本寄りだが、よりミステリっぽさを感じられて引きつけられた。ラストが意外な方向に転んで驚いた。細部の内容まで、すごくよくできていると思った。

配達あかずきん
配達したばかりの雑誌に盗撮写真が挟まっていた。杏子と多絵は「本屋の敵」を追求していく…という話。表題作になっているだけあると思う。書店の日常業務とキャラの特性が上手く絡んで、かなり面白いトリックだった。そして、なんと言ってもラストの「あかずきん」と犯人の会話。これがまた良い。変な意味じゃないが、思わずニヤリとしてしまう。

六冊目のメッセージ
ある日訪れた一人の女性。入院中に母親が買ってきてくれた本は全て成風堂の書店員が選んでくれたと聞いてお礼を言いに来たという。しかし、それは成風堂の書店員ではなかった。じゃあ一体誰なのさ?という話。この謎解きが一番好きだし、お話自体も好きだ。客としての視点しか持たない私にとっては盲点だった。店員視点でも同様なんではないかと思った。それにラストが良い。本が出逢いのきっかけになるなんて最高だと思う。実際には無いだろうと思われるが(苦笑)。

ディスプレイ・リプレイ
出版社の販促活動の一つであるディスプレイコンテストに成風堂書店が応募することになった。それは『トロピカル』という少年漫画のフェアだった。アルバイトの角倉夕紀とその友人達が力作を完成させ、客からも好評を得るが、数日後ディスプレイが黒いスプレーで滅茶苦茶にされていて…という話。このお話でディスプレイコンテストなるものを初めて知った。まぁ当たり前なのだが(笑)。あまり謎解き自体は複雑ではなく、本に纏わるそれぞれの想いが描かれていた。本を売る側の苦労・喜び、それとは関係なく本への想いを深めていく客。形や度合いは違っても一冊の本には様々な想いが込められている…そんな感情豊かな人間模様が読み取れた。この作家の良い所は、謎を追うばかりではなく、こうやって各キャラの背景や人間性がきちんと設定されていて、温かい余韻を残してくれることだと思う。そして、最終話であるこの作品に一番それが色濃く反映されていると思う。たかが本一冊、されど一冊。いろんな人の想いが詰まってるんだな〜と感じた。

この作品はシリーズになっているようだ。こういう楽しいシリーズはぜひ続けてほしい。そして、書店外が舞台の作品もどういうモチーフを持ってくるか楽しみだ。
Author: chiro
あ行の作家(大崎梢) | permalink | comments(10) | trackbacks(7)
 
 

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コメント:
本屋の裏話がすごく興味深かったですね。
へぇ〜ほぉ〜って感心してばかりでした。
2作目も続けて読んでいらっしゃるんですね。

comment by: なな | 2007/07/19 10:59 PM
>ななさん
これから2作目を読み始めるところです♪
8月に新作が出るようなので、かなり楽しみです。
それまでにあと2作制覇しておきたいです。
comment by: chiro | 2007/07/19 11:09 PM
こんばんは。
さまざまな謎解きが楽しめましたね。
どのお話も温かい余韻があってよかったです。
書店員さんの思い、一冊一冊を大切にする姿勢、好感が持てました。
あと2作のレビュー、楽しみにしていますね。
comment by: 藍色 | 2007/07/20 12:31 AM
>藍色さん
おはようございます。
単なるミステリじゃないという感じで良かったですよね。
あとの2作も読むのが楽しみです。
comment by: chiro | 2007/07/20 7:45 AM
chiroさん、おはよー。
「六冊目のメッセージ」が良かったです。
でも実際に本に関わる仕事の方は、本を読んでる人が少ない。
こんな人が増えればいいのにね。
comment by: しんちゃん | 2007/07/20 8:34 AM
>しんちゃん
おはようございます〜。
そうですねぇ、こんな店員さんが増えてくれると嬉しいかな。
服とか家電の店では店員が寄ってくるとウザく感じるんですけど、本屋でススメられるっていうのは面白そうだし、楽しそう。
comment by: chiro | 2007/07/20 9:07 AM
いや〜、ほんとに面白かったですね。
私も「六冊目のメッセージ」がお気に入りです。
と言うか、こんな出会いを心の中ですこーしは期待しているのですが。。やっぱりないかあ〜。

本屋ですすめられること、ないですよね。。
以前バイトをしていた書店には、名物店長がいて、常連さんにはいろいろとおすすめをしていましたけれども。そこに至るまでは難しそう・・・
会計の際にでも、一言声を掛けてもらえると私は嬉しいですね。
「これ、私も読みましたよ」とか。それだけでも。
(これもドリーム?)
comment by: くろ | 2007/07/21 12:20 PM
>くろさん
漫画や小説にあるような出逢いって、むずかしいですよね(苦笑)。
出逢えたとして、良い人だとは限らないし…う〜ん。

書店員に声をかけてもらうっていうの良いですよね!
私もそんなドリームが(笑)。
「なかなかの本をお選びですね〜」とか(爆)。
comment by: chiro | 2007/07/21 5:58 PM
こんばんは!
書店員ミステリって新鮮で楽しめました。
裏話なんかも読めて堪能しました。
ちょっと登場人物と相性が合わなかったので(笑)
苦労しましたが、書店ミステリってなかなか面白いですものね。
また今後が楽しみです♪
comment by: リサ | 2007/07/22 9:03 PM
>リサさん
私はキャラとの相性は、あまり深く考えずに読むので、気になりません(笑)。
でも、共感度が下がってしまうというのはありますね。
また新しいシリーズが出たら、次は共感できるといいですね。
comment by: chiro | 2007/07/23 7:42 AM
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配達あかずきん 大崎 梢 舞台は駅ビルの6階にある100坪程度の中規模書店「成風堂」。しっかり物の書店員・杏子と感のいい学生バイト多絵がお客さんが持ち込む謎を解いていきます。 表紙が素敵。ミステリーフロンティアで出してる本が並んでいます。友達から
trackback by: ナナメモ | 2007/07/19 11:42 PM
東京創元社ミステリ・フロンティア。「本の雑誌」2006年上半期ベストテン第2位。COVER PHOTO:(c)WONDER WARKZ。BOOK DESIGN:岩郷重力+WONDER WARKZ。 駅ビル内の成風堂書店でしっかり者の書店員・木下杏子と勘の
trackback by: 粋な提案 | 2007/07/20 12:32 AM
配達あかずきん大崎 梢 (2006/05/20)東京創元社 この商品の詳細を見る 世間で評判が良い本ですが、大絶賛とまでは行かなかった。 本屋さんに持ち込まれた謎を書店員の杏子と、 バイトの多絵(こちらが鋭い)が謎を解く書店ミス
trackback by: しんちゃんの買い物帳 | 2007/07/20 8:26 AM
杏子は駅ビル内にある本屋の店員だ。タイトルも書いた人もわからない。どういう内容かもわからない。そんな場合でも、お客様からの僅かなヒントから本を探すこともある。 今日は、寝たきりのおばあちゃんに頼まれた...
trackback by: booklines.net | 2007/07/20 8:40 PM
ああ面白かった! 読んで読んで。特に書店員のみなさま! (って今更私が言うことじゃないですけども・・・) 配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真…。駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良いアルバイト店員・多絵のコンビが、
trackback by: にゃんこと歩く。-読書日記- | 2007/07/21 12:14 PM
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trackback by: ひなたでゆるり | 2007/07/22 9:00 PM
配達あかずきんposted with 簡単リンクくん at 2006. 8. 9大崎 梢著東京創元社 (2006.5)通常1-3週間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る
trackback by: 今日何読んだ?どうだった?? | 2008/01/28 9:25 AM