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「うさぎの映画館」殿先菜生

「うさぎの映画館」
殿先 菜生
メディアワークス
2007-05
勝手に評価:★★★★☆

 ヒビ割れた手鏡、幽霊つきと噂の姿見、主役不在のアリスのランプ……。
 ちょっと不思議な品物が集まる、銀河堂という骨董品店でバイトをしていた静流は、雲井進という少年と出会う。実は、高校の同級生でもあった雲井とのこの出会いが、静流の心に小さな波紋を生み、やがて思わぬところに、彼女を導いてゆく……。
 小さな店が軒を連ねる商店街。その先には、ぬいぐるみの『はーさん』が迎えてくれる映画館。それは繰り返し彼女が見る夢……。
 静かに紡がれる、夢と現実をつなぐ物語。(カバーより)

高校生の女の子の日常風景と彼女が時々見る不思議な夢が交互に描かれる心温まる物語。橋本紡氏推薦の注目新人作家だそうだ。私はイラストを描かれている田上俊介氏の絵が好きなので、即購入を決めたのだ(笑)。電撃で田上俊介氏と言ったら壁井ユカコ氏「キーリ」シリーズ(全9巻)がある。あ〜、話が全く逸れてしまった(汗)。

物語は、主人公・静流が夢を見ているシーンから始まる。そして、寝ている彼女を起こしたのがキーパーソンで同級生の雲井進。彼がいなかったら、夢も見なかっただろうし、彼女自身の変化もなかっただろう。それくらい重要なキャラだと思う。で、この物語は、ある意味二人のラブストーリーでもある。

静流は文字通りのマイペースで、天然な性格の持ち主である。表紙イラストの通り、見た目も可愛い。ライトノベルの王道的なキャラ設定である。しかし、彼女にはどこか冷めていて、他人と距離を置くようなところがある。その原因は十年以上前に他界した母親が関係しているのだが…。う〜ん、これ以上はあまり話せそうにない(苦笑)。この先はぜひそれぞれの目で確認してほしい。

全体的に起伏があまりなく、平凡な日常を淡々と描写している印象だ。その分、最後に彼女が自分の過去と向き合い、少しずつ前へ進んでいくシーンが重みを持ち、物語に厚みを加えている。衝撃的なシーンがあるとか、劇的な展開があるとか、そういったことは無くても、あぁ、読んで良かったなと思い、優しく微笑みたくなるような読後感があった。私はこの作品を好きだと思えた。

ただやはり起伏が少ないというのは、読むスピードを鈍らせたり、気持ちを削がれたりする。また、キャラの動作が一辺倒な気がしたし、ばら撒いたパーツを手繰り寄せていく作業も少し中途半端だと感じた。物語を流れる涼やかな風を感じ、ラストの静かな感動が良かっただけに、かなり残念に思う。

しかし、「不思議の国のアリス」や「ラプンツェル」、「銀河鉄道の夜」などを持ち出し、うまく物語に絡めていくのは面白かったし、私は殿先氏のこの作風は好きだ(しつこい?)。新人ということをあまり意識せず、安心して読めたので、完成度も高い方だと思われる。次作では、もっとネタを掘り下げ腰を据えた、より厚みのある作品を期待したい(またエラソウ・笑)。
Author: chiro
た行の作家(その他) | permalink | comments(0) | trackbacks(2)
 
 

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「銀河堂」という骨董店で店番をしていたら、買取をしてほしいというお客さんがきた。何となく見たことがあるような男の子だった。そのときは気づかなかったが、彼は、同じ学校へ通う同級生だったのだ。ちょっとした...
trackback by: booklines.net | 2007/07/18 8:00 PM
著者:殿先菜生 うさぎの映画館価格:¥ 578(税込)発売日:2007-05 ち
trackback by: たこの感想文 | 2007/10/31 12:23 PM