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「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦

「夜は短し歩けよ乙女」

森見 登美彦
角川書店
2006-11-29
勝手に評価:★★★★★

 鬼才モリミが放つ、キュートでポップな片想いストーリー!
 「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。二人を待ち受けるのは奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった!(カバーより)

初モリミ作品でした。いや〜、いろんな意味ですごかった(笑)。

主人公の「先輩」と「彼女」は大学生という設定。一体どんな大学のどんな学部に通っているんだろうか。どっちも「〜しております」とか「〜ゆえ」とか、「しかるのち」とか、すごい古風で奥ゆかしい言葉遣いなんだけど(笑)。今時の大学生プラス私のような日本語と英語を混ぜたり、奇天烈な新しい言葉を作り出すような人間は、爪の垢を煎じて飲むべきだという勢いで。舞台が京都だし、こういう人もいるのかもなと無理矢理結論付けて読み進めていった。もちろん他のキャラはもっと普通の話し方の人もいるし、もっと変な話し方の人もいるし。とにかく個性的な面々が織り成すラブコメディというところか。

この物語を構成しているのは、半分は「先輩」の妄想力とそれに従った行動力。もう半分は「彼女」の天然キャラと好奇心の旺盛さ。どちらも極端過ぎてかなり笑えた。まったく共感できないわけじゃないんだけど、そこまで考えなくていいし、そこまでやらなくてもっていうシーンの連続だった。

特に「先輩」の妄想力の凄さ。私も妄想・空想はよくやるけど、あそこまで行動に移せるのは凄いと純粋に尊敬する。「彼女」とお近づきになれるかどうかで自分の未来永劫が決まり、そのために文字通り命がけで彼女の後ろ姿を追いかける。「彼女」の行く先にとことん出向いて偶然を装う。よっぽど彼女が好きなんだろうなぁと思った。火鍋を朦朧としながら食べきったのに目標の絵本を持ち去られちゃった時なんて彼が物凄く可哀相で仕方なかったし、「彼女」と同時に絵本を取ろうとした時は「行け行け!!」と励ましてしまった。傍から見たら気持ち悪いくらいの追っかけをやってるはずなのに、一途さと純粋さ、そして激しく報われない様が良くて、温かい目で見守ることができた。

一方、「彼女」。なんでもポジティブに考えてしまう純粋さは妄想力に引けをとらない。酔っ払いオヤジに絡まれてセクハラされても「立派な人生論を聞かせて下さいました」と言い切ったり、象のお尻を撫でて「現実の厳しさを知りました」って本気で言ってみたり。有り得ないだろ、おかしいだろとツッコミを何度も入れた。思わず素で噴き出したこともあった。大学生でマンションに住んでるみたいだから、ある程度お金持ちというか、良家で育ってきたんだろうけどね…それでもなかなかいないと思うよ、実際は。

そんな二人が後半からグッと接近し始めて(「先輩」の努力がようやく報われてというべきか?)、「彼女」は彼を意識し始める。すごい纏わり付いてるのに「不思議な御縁が…?」という程度ではあるけど。第三者として存在している自分はドキドキしながら応援した。「なむなむ!」と祈りながら(笑)。

最後はSFでファンタジーな世界になってて少し無理を感じたけど、やっと全てが収束して気持ちが良かった。恋愛小説でこんな清々しい終り方っていいなぁと思う。深呼吸して伸びをした後みたいな、そんな感じ。スカッとした。

モリミ作品というのは、こういう奇想天外で猛烈な展開が多いんだろうか?むむ、ますます作家読みしたくなってきた。まだ新しい方だし、今後の楽しみがまた増えて、いい出会いでした♪
Author: chiro
ま行の作家(森見登美彦) | permalink | comments(7) | trackbacks(11)
 
 

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コメント:
ちーす。
「四畳半」の最後は、もっと無理してましたよ。
あのファンタジーには、頭がくらくらしたっす。
comment by: しんちゃん | 2007/07/10 5:36 PM
>しんちゃん
こんばんは〜。
あれ以上に無理するんですか?!
聞いただけで眩暈が(笑)。
comment by: chiro | 2007/07/10 5:58 PM
汗臭くて、最後には爽やかなな物語でしたね。
「四畳半」はさらに…なんですね。
気になるけど、ついていけるのか心配です。


comment by: なな | 2007/07/10 10:33 PM
こんばんはー。

「なむなむ!」しばらく私の中でブームでしたよ。
うっかり口にしそうになったりして(笑)
彼女の見事なボケっぷりがおかしかったですね。
ワケノワカラヌぶっとんだ世界をおなかいっぱい楽しんだーという感じでした。
私は図書館予約中の「〈新釈〉走れメロス」を心待ちにしているところです。
comment by: くろ | 2007/07/10 10:47 PM
chiroさん、こんばんは!
もう〜素敵なお話しでした。大好きです。
摩訶不思議、奇々怪々なお話しにすっかりやられてしまいました。
私、未だに何かあると「なむなむ!」と唱えてしまいます(笑)
comment by: リサ | 2007/07/10 11:15 PM
chiroさん、こんばんは。
先輩のもの凄い妄想力、驚きましたね。
そして黒髪の乙女の天真爛漫さ。
ツッコミを何度も入れたのは私だけじゃなくて安心しました(笑)。
この作品が初森見さんだったんですね。
デビュー作は「太陽の塔」ですが、どちらかといえば「新釈走れメロス」がおすすめです。
comment by: 藍色 | 2007/07/11 1:40 AM
>ななさん
私も「四畳半〜」ついてけるかどうかわかりませんが、圧倒的に気になるので(笑)、近々読みたいな〜と思ってます。

>くろさん
おなかいっぱいですねー☆
ずっとモリミ作品を読み続けたら、現実に帰って来れなくなりそうな気がします(笑)。

>リサさん
「なむなむ!」いいですよね!
うっかり口に出さないように気をつけなくちゃ…。

>藍色さん
私は皆がツッコミ入れるだろ!と思ってました(笑)。
図書館から「太陽の塔」借りてきたので、読もうと思ってます。
「新釈〜」も読みたいです。
comment by: chiro | 2007/07/11 12:50 PM
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trackback by: しんちゃんの買い物帳 | 2007/07/10 8:56 AM
Sweet Blue Ageを読んだときには、こんな展開になり、こんな終わり方になるなんて、全く想像しておりませんでしたよ! (リンクを貼ったものの、「夜は短し〜」には全く触れてなかったですね・・・。読んだ当初は「クジラの彼」にノックアウトされていたのです!) 京都
trackback by: にゃんこと歩く。-読書日記- | 2007/07/10 10:26 PM
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