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「失われた町」三崎亜記

「失われた町」
三崎 亜記
集英社
2006-11
勝手に評価:★★★★★

 ある日突然、大切な人が「消滅」したら?
 30年に一度、突然一つの町の住民が跡形もなく「消滅」する世界。大切な人を失った人々の思いは?「消滅」との戦いの行方は? 驚異の新人・三崎亜記が贈る待望の長編、「町」シリーズ第2弾!!(集英社HPの内容紹介より)

今年度の直木賞候補作であり、本屋大賞で9位にもなった話題の作品です。この方も新しい作家さんのようですね。

最初に読み始めて「あれ?読みづらいかも。ハズレかなぁ」と思いました。SFのような雰囲気と堅い会話、文章。私はそういうのが苦手なのです。プロローグの後半でシーンが切り替わってから、少し肌に馴染んできました。でも、イマイチ波に乗れない感じ。不安を抱えつつ読み進めてエピソード2まで行ったら、いきなりグイッと引き込まれました。それからは私も一緒に「町」との戦いに参加できました。この作品は、波に乗れた時点で一気に読んでしまうことをオススメします。長編だからとか内容が少し難しいからじゃなくて、勢いに乗ったままラストに行った方が感動が大きいからです。私は3日も跨ぎましたが、比較的一気に読めました。かの有名な選手が「とても楽しい42.195kmでした!」(確かこんなセリフだった)と言ったような感覚になります。

この作品はプロローグとエピローグに挟まれて、エピソードが7つあります。それぞれの主役は時の流れとともに変わったり戻ったりします。感覚的には短編集のようにサクサク読めますが、主要キャラはずっと変わらないので面白いです。それぞれのその後や前の疑問の答えがあったり…ちょっとしたミステリーの種明かしがちらほらあって、読んでて得した気分になります。

物語では様々な境遇の人々が「消滅」に関わっていき、集結していく様が描かれています。迷ったり戸惑ったり、怒ったり泣いたり…いろんな時を経て、一人一人が自分の意志で立ち上がっていきます。それを丹念に追っていくことで、キャラと一緒に読み手も決意や覚悟を深めていくことができます。よく正義の物語やミステリーなどでは「あの人のために」とか「この世界のために」という筋書きが出てきますが、これはもっと切実な話でした。「生きるため、希望を繋げるため」です。このテーマをそれぞれのキャラが自分の身に置いて考え、それに向けての自分の「役割」を見出していくんです。大切な人やモノを守っていくための「役割」です。傍から見たら、それは「使命」あるいは「正義」というのかもしれません。でも、この物語では決してそうじゃない、「選択」「意志」として描かれています。何度もこのテーマに触れるシーンが出てきた時、私は涙を誘われました。私も一緒に本当に大切な「何か」を見つけられたような気がしました。

この作品は年月で言えば30年以上の長さを描いています。そうした上で物語の最後に「あの時間」を持ってくるのはすごいなと思いました。ネタバレになるので言えませんが、とにかくラストはすごいです。今までの疑問が全て解けるし、それまでのエピソードたちの重みがグッと増して、さらには物語自体のスケール感を拡げています。「町」や「消滅」の設定の詳細さにも感嘆しましたが、このラストで打ちのめされました。この構成でこの物語。やられました。

さて、だいたいの疑問は解決したんですけど、まだ一つだけ疑問が。サブキャラの園田さん。彼女は一体何者?ラストを読んで、余計にわからなくなりました。もしかして人間じゃない?!と思いました。誰か教えてください…。
Author: chiro
ま行の作家(三崎亜記) | permalink | comments(4) | trackbacks(4)
 
 

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コメント:
chiroさん、こんばんは。
サブキャラの園田さんって掃除のオバサンでしたっけ?
むむむ。すっかり忘れてます。
ラストで何かやってましたか?
もう一度読みたくなってきました。
comment by: なな | 2007/04/25 12:01 AM
>ななさん
こんにちは、ななさん。
特に何かやってたわけじゃないですが、現れた場所がおかしいです。
すごく健康な印象がある園田さんが、なぜあんな場所を普通に出入りできているのか…。
ぜひ再読して教えてください(笑)。
comment by: chiro | 2007/04/25 3:20 PM
TBありがとうございました。
ところで、園田さんの件ですが(笑)
私もすっかり読み流してしまっていました〜。
chiroさんの感想を読んで気になってきています。
comment by: たかとう | 2008/01/07 5:36 PM
>たかとうさん
こちらこそTBありがとうございました!

園田さんね、未だに謎なんですよ(笑)。
普通の人じゃ入れない(入っちゃいけない)所に普通にいたんですよ。
ぜひチェックしてみてください☆
comment by: chiro | 2008/01/07 7:07 PM
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